社会人基礎力を磨いてクリニックを強くする<Part2 チームワーク>

皆さん、こんにちは。
CURRENT・R株式会社の原 小百合です。

新年度となり、クリニックに新人さんを迎えた先生も多いと思います。
新人さん本人だけでなく、お迎えするクリニック側もいろんな準備に追われますね。

ただでさえ忙しい現場のスケジュール、新しいメンバーにも環境に慣れて
早く一人で動けるようになってほしというのが本音かもしれません。

「何事も始めが肝心」と言いますが、
新人さんが加わったこの時期だからこそ今日はチームワークについて
考えてみたいと思います。

先日、このブログでもお伝えした、経済産業省が提唱する【社会人基礎力】には
「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)
が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として挙げられています。

http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

今日はその中で、特に「チームで働く力(チームワーク)」に必要な「発信力」という要素に注目したいと思います。

このことに注目する理由は二つ
・チーム医療の観点から、より良い医療を提供するにあたってのチームの総合力が不可欠
・新メンバーがチームの一員としての認識が高まれば、指導面もスムーズになる
ということからです。

言葉で「チームワーク」というのは簡単ですが、
実はチームの総合力で医院を動かそうとすると最初はかなり面倒なことに直面します。

特に、院長先生がとてもハイパフォーマーで、治療だけでなく多方面にわたって
活躍している場合などは、先生が何にでも関わって解決してしまうケースがあります。

「スタッフに指示しても自分が思うように動いてもらえないから、だったら自分でやった方がいい」
先日、とある先生がこぼした呟きです。

もちろん、他のスタッフさんとは経験値が違いますので、
院長先生が指示することで上手くいくことが多いのは納得です。

そしてこの方法を続けていくと、医院が上手くいけばいくほど院長先生は忙しくなり続け、
同時に指示されないと動けないメンバーが増えていく
という望んでいない悪循環となります。

新しいメンバーを迎えたこの時期は、何かと新しいスタイルを導入しやすい時期でもあります。
このタイミングで、「チームで動く」ことに舵を切ってみてはいかがでしょう?

中でも院長先生以外の「発信力」をスタッフさんが発揮することが増えてくると
総合力UPにつながってきますよ。
例えば、指導や指示が得意な方、つい一方的に伝えるだけで終わってしまうことがあります。
確かに十分「発信」をしているのですが、
今回フォーカスしたいのは指示される側・指導される側の発信力を伸ばすことです。
そうすることで、お互いの現状や考えがわかりやすくなり、チームとしての風通しが良くなってきます。

ただ現実的には、これまでは指示されるだけで良かったスタッフさんに、ただやみくもに
「今後はみんなも自分の意見を発信するように」と言ってもなかなか変わりません。

どういうところから変化がつくれるのでしょう?

例えば、
いつものように指導や指示をした後に、
「で、○○さんとしてはどう思った?」
「どんな感想?」
「何が印象に残った?」

などの質問がスタッフさんが自分の意見を発信しやすいアプローチです。
ただ、「何か質問ありますか?」は往々にして「特にありません」で終わりやすいです(笑)

これまでは黙って指示を聞いていただけのスタッフさんも、一度匙を向けてみると
こんなこと考えていたのか! ということや、
先生よりも患者さま目線に近くて結構鋭い意見が出たりもします。

このようなことを研修でお伝えすると
「そんなに一々スタッフの意見を聞いていたら、みんな勝手に言い出して収集がつかなくなりませんか?」
という質問を頂くことがあります。

大丈夫です。
そもそも職場で全員の意見が全て均等に採用されるということは無いわけです。
最終の決定は今まで通りに院長先生かもしれません。
でもそのプロセスにチームメンバーの声が検討されたり、考慮する機会があることがポイントです。

もし、結論が決まっていることでもそのことを伝えられたスタッフさんがどう受け取っているかを知ることで
スムーズにすすめやすくなったりもします。
最後に、スタッフさんの発言に対するちょっとしたコメントを返すことも忘れずに!

「なるほど、そう思ったんだ」
「おっ、なかなかそれは鋭いですね」
「確かに、そういう部分もあるよね」

一方的に正解を伝えておしまい、ではなく受けとめ側の意見ももらうことで全体としての良い循環が生まれます。
この春に入局した新人さんに対しても、一言コメントの場をつくってここからのチーム力を高めっていって下さいね。