仕事ができる人は「おしゃべり」をする理由
こんにちは。
CURRENT・R株式会社の原 小百合です。
「きちんとしている」「まじめ」「決められたことを黙々と頑張る」
職場では一見重宝がられそうなキャラクターですね。
このようなメンバーが医院に揃うと院長先生としては仕事が進めやすいでしょうか?
仕事としての専門性の高さが求められる医療機関では、仕事には直接関係のないことが
入り込むすき間がありません。
もちろんそれは患者さまへよりよい医療を提供するためにです。
ただ、でもその為にあまりにもトップダウンの傾向が強すぎて、メンバーの意見が拾えず
クリニックの空気がギスギスしてしまっては必要な情報共有も進みません。
そこで参考にしてみたいのが、院長先生もきっと利用する機会のあるエアラインの事例です。
ANAが推奨しているのが、なんと【職場での雑談】ということ。
一見むだに見えるスタッフ同士の「雑談・おしゃべり」なのですが、これらが積み重なると
全体の経験値やノウハウにつながります。
実際、仕事ができる人ほど雑談による情報収集を大切にしています。
おしゃべりであれば自分が仕事で経験していないことを相手は話してくれる。
それを受けて自分も経験を話す。1人の人が仕事で経験できることは限界があり、
ベテランになるのを待っている程の余裕もないので、今他の人の経験から学ぶには
「雑談」レベルの情報交換がとても貴重。これが仕事のできる人の発想です。
ANAをはじめ航空会社ではこのこうなおしゃべりを「ハンガートーク」というそうです。
ハンガー(Hanger)とは飛行機の格納庫のことで、パイロットが悪天候で飛行機を飛ばせない
時に格納庫の隅に集まって、各自の飛行話で盛り上がっていたことが由来だそうです。
これが今やパイロットだけでなく、CA(キャビンアテンダント)などにも広がっているそうです。
例えばロッカールームで身支度をしながら
「おはよう!今日のフライトはどこ?」という挨拶から
自分が経験したフライトのお客様の傾向、例えば夏休みで小さなお子様がとても多い、
日中の気温差が大きいのでお客さまの服装に差があるなどの現場情報を交換するのだそうです。
雑談を通して、小さなお子さんにアイスクリームを配るタイミングを上手く図るコツや
温度調整の毛布が不足してしまった際にお客様にどう声をかけるかを話し合うのです。
マニュアルには書ききれない実施に目の前のお客様に安心して満足して頂く知恵が交換される
ということですね。
おそらく正式なレポートで上がってくる「おしゃべり」や「雑談」だからこそ、お客様の本音やそこに
対応したスタッフの実感がこめられていて、他の職種のメンバーや若手のスタッフが経験できない
ことを仲間から得る機会になるのだと思います。
このような航空業界の慣習と工夫は、患者さまへの医療の安全とる満足度の向上という点で
医療機関にもヒントになることが多そうです。
特に受付や待合室での患者さまの様子や言動はなかなか診療室ではわかりにくいものです。
ブリーフィングなどでの情報共有に加えて、短くでもリアルタイムな情報交換ができると良いですね。
その際には、「誰がどうした」の誰に注目するよりも「何が起きているか」の出来事に注目することも
ポイントです。雑談が有益なものになるかどうかの分かれ目です。
是非、院長先生からミーティング以外での「雑談」を始めてみてはいかがでしょうか?